古民家再生は、単なるリフォームではなく、数十年から百数年経過した建物の「命を吹き返す」一大プロジェクトです。
一般的な家づくりとは異なり、「解体して初めて状態がわかる」という不確定要素を含んでいるのが特徴です。そのプロセスを大きく5つのフェーズに分けて解説します。
1. 調査・診断フェーズ(1〜3ヶ月)



まずは「その家が再生に耐えられるか」をプロが診断します。
- 建物診断(インスペクション): シロアリ被害、腐朽、雨漏りの有無をチェックします。
- 耐震診断: 昔の家は「石場建て」という免震に近い構造が多いため、現代の耐震基準とどう折り合いをつけるか検討します。
- 自治体の確認: 補助金(耐震改修や古民家再生支援)の対象になるか、着工前に必ず確認します。
2. 計画・設計フェーズ(3〜6ヶ月)
「どこを残し、どこを新しくするか」のバランスを決めます。
- 間取りの再構成: 田の字型の和室を現代の生活動線に合わせ、LDKへ変更するなどの計画を立てます。
- 断熱・気密計画: 古民家の最大の弱点は「寒さ」です。床・壁・天井の断熱材や、サッシの交換方法を慎重に選びます。
- 意匠(デザイン): 伝統的な「継手(つぎて)」や太い梁(はり)をあえて見せるなど、古民家ならではの魅力をデザインに組み込みます。
3. 解体・補修フェーズ(工事開始後 1〜3ヶ月)
ここが古民家特有の重要工程です。
- 半解体・手壊し: 構造材を傷めないよう、職人が手作業で解体します。
- 揚げ屋(あげや)・建て起こし: 建物全体をジャッキアップして、傾いた柱を垂直に戻したり、基礎を新設(コンクリート打設)したりします。
- 部材の補修: 腐った土台や柱を切り取り、新しい木材を継手でつなぎ合わせる「根継ぎ(ねつぎ)」を行います。



4. 造作・仕上げフェーズ(3〜12ヶ月)
家としての機能を作り込みます。
- 設備の導入: キッチン、風呂、トイレなどの水回りを最新のものに更新します。
- 左官・内装: 漆喰(しっくい)や珪藻土(けいそうど)の壁塗り、無垢材の床貼りを行います。
- 古材の塗装: 洗い(クリーニング)をかけたり、柿渋や自然塗料で古材の色味を整えます。
5. 完成・メンテナンス
- 引き渡し: 伝統的な美しさと現代の快適さが共存した空間が完成します。
- 継続的な手入れ: 自然素材を使っているため、定期的な点検や木部のメンテナンスが長く住むコツです。







